インタビュー / 小久保 隆  / STUDIO ION

小久保隆は、日本の電子音楽界に於ける真の先駆者の一人です。彼は80年代初頭に「環境音楽のサウンド・デザイナー」として、様々な公共施設の音楽を手がけるキャリアを開始しました。多数の大企業のショールームやショッピング・モールなどの商業スペースを、微細に音響的な彫刻を行いました。しかし、彼の会社であるStudio Ionを通じて、気分を変容する、精神作用する、可聴及び非可聴の周波数の特性に関する数十年に渡る科学的な研究を行いながら、彼はまた、ストレス解消やリスナーのリラックスを促す「ヒーリング・ミュージック」の諸作品を50枚近く今まで発表して来ました。小久保さんは、日本国内では電子マネー信号や地震警報(最初に手がけたヴァージョンがあまりにも怖すぎたため、緩和されたエピソードは有名)などの日常に何方でも使用している携帯電話の「アラート」音の制作者として知られていますが、西欧諸国では彼自身が手がけた「アンビエント」系のアルバムの評価と需要が非常に高いです。LAG Recordsは、小久保さんが1987年に出したアルバム「Get At The Wave(A Dream Sails Out To Sea)」を2018年に再発しましたが、また昨年にGlossy Mistakesから1985年に発表した『バウハウスの詩人たち』も初アナログ再発化が実現されました。12月4日(土)に原宿のスペース、Galaxy – Gingakei で開催されるアンビエント・イヴェント「静音」に出演する予定の小久保さんはこのイヴェントの宣伝の一環として、今回の取材に賛同して頂き、いくつか質問にお答えして頂きました。

翻訳支援をしてくれた日高健に感謝します。
小久保さんのサイバーくんの写真。

出身地を教えて下さい。現在、何方に拠点を置いていますでしょうか?

東京 千代田区。山梨県北杜市武川町。山梨県北杜市武川町。甲斐駒ヶ岳の麓、標高700mの森の中。正確には、山梨県北杜市と東京杉並区の二拠点生活。

音楽をいつから作り始めましたのでしょうか?

高校生の時。

貴方はどんな楽器を演奏できますでしょうか? 正式な音楽訓練を受けましたのでしょうか?

小学の時、ヤマハの音楽教室でオルガン中学の時、ブラスバンド部でテナーサックス。高校の時、管弦楽部で打楽器、軽音楽部でドラム。大学の時、ドラム、シンセサイザー。正式な音楽訓練は受けていません。

シンセサイザーやエレクトロニック・ミュージックを初めて興味を持ち始めたのはいつ頃でしょうか?

高校生の時。

自分自身の電子音楽を作り始めるきっかけとなった、アーティストや特定の音楽作品を教えて下さい。

冨田勲 月の光, タンジェリンドリーム、ジャンミッシェル・ジャール、バンゲリス。

あなたが最初に所有したシンセは何でしょうか?

Roland SH-5

Korg 800DV

あなたが最初に所有したシンセは高価なものでしたでしょうか?

20万円くらいのものだったと思います。

あなたは今どんな機材をお持ちでしょうか?

今はシンセサイザーは持っていません。Macで音楽制作しています。

貴方にとっての今/過去に気に入っている/た機材は何でしょうか?

Moog Synthesizer IIIc

Arp2600

Roland System700

Korg 800DV

PPG

Prophet5

フェアライトCMIに初めて触れたとき, その自動演奏プロプラムの持つ、パレットで絵の具を混ぜるがごとく音色をクリエイトできる機能に, 従来の感性の押しつけ飽き飽きしていたとき、コンピュータの産む乱数的なゆらぎに強く惹かれるものを感じた。 実際、プログラムした私にも思いもよらない、コンピュータのリアクションが、これらの作品を作り出しているのだ。

私のアルバムの全作品は、一曲、一曲が無限演奏を前提に作られています。つまり、始まりもなければ、終わりもありません。しかし、アルバムに収録するという制限上、仕方なく、フェードイン、フェードアウトしています。

Takashi Kokubo In The Studio

いつStudio Ionを創立したのでしょうか? そして創立した理由を教えて下さい。

1986年大企業と仕事をする際に、個人事業主ではなく株式会社でないと契約できないと言われたため。

最近、80年代の「環境音楽」について多くのことが書かれています。 当時、「シーン」みたいなものがありましたでしょうか?

自分自身では「シーン」を感じて言いたことはありません。

尾島由郎や吉村弘など他の作曲家と親交ありましたでしょうか?

当時はありませんでした。

私が「バウハウスの詩人達」を作った当時、私は、アンビエント/環境音楽と言うものを知らなかった。後になって、自分の作ったものが「環境音楽」というジャンルのものなんだと知った。たぶん、当時の日本では大きなシーンではなかったと思います。

80年代前半の私が強く感じていたことは、 作品の持つ「これを伝えたい」というメッセージに、うんざりしていていました。ロックやポップミュージックのメッセージ性の強い音楽や、ベートーベンのソナタ形式の様に緻密に構築された音楽を、「Too Much!!」と感じ、聴きたくなかった。

現代の音楽シーンがまさにこのような「Too Much!!」な状況なんではないでしょうか?だから、メッセージ性の弱い、何気ない、聴かせようとしない音楽が必要とされているのではないでしょうか?

あなたのアルバム『A Dream Sails Out To Sea』は、三洋電機の高性能なエアコンの特典として付けるために、メーカーから依頼されたというのは本当なのでしょうか?

本当です

当時この仕事に似たような依頼を他社から多くオファーされましたでしょうか?

INAX(現在のLIXIL)のショールームの環境音楽、六本木アークヒルズ(アリーナ)の環境音楽、横浜クイーンズスクエアの環境音楽。。。

特別、サウンドデザインとして意識していたわけではないのですが、1985年から86年にかけて、INAX(現LIXIL)の銀座ショールームの環境音楽を作りました。サウンドデザインとしての初めての仕事だと思います。アーティストとデザイナーの違いです。アーティストは表現者として無責任でも許される。デザイナーは社会、環境に対して責任がある。

INAXは都心のビジネスと文化を融合した複合施設内のオフィスビル37階に、画期的なショールーム「XSITE(エクサイト)」をオープン。当時、まだとかく汚いものと扱われがちだったトイレに対する人びとの認識を刷新し、美しいインテリアとして捉えてもらうことを目的として、世界10カ国30社から集めた便器、洗面台およびバスタブ約800点を展示しました。ドイツ出身の工業デザイナー、ルイジ・コラーニのデザインによるVilleroy & Boch社製のトイレ、フランスの金属製洗面台等のメーカー、JANDELLE Paris社製の銅製洗面台。。。

最近『A Dream Sails Out To Sea』と収録されている楽曲が、ヨーロッパとアメリカで再発用のライセンスされた時、あなたは驚きましたでしょうか?

はい。驚きました。私は、『A Dream Sails Out To Sea』を完全に忘れていましたから。

貴方が行っていた純音を使った実験や脳波検査について更に詳しく教えて頂けないでしょうか?この手の実験を行い、何を発見しましたでしょうか?

高校生の時から、シンセサイザーを自作したり、オーディオマニアでスピーカーやアンプを自作したりしていました。その頃から、音、音楽が人に与える力に興味がありました。 特に3D音響、今話題になっている「空間オーディオ」に興味があり、自作のバイノーラルマイク(サイバーくん)を作り、音像移動や音場の実験をよく行ってました。

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音楽は、「その空間の空気に味をつけるもの」だと考えます。 私が、音環境デザインで良く試みているのが、「普段より呼吸がゆっくりになるような、空気の味付けです。 空間のリズムを変えられる。エキサイトするようなリズム感も作れれば、リラックスして、呼吸がゆったりとなるような、リズムも作れます。空間に集う人の、脈拍、呼吸などの生理的動きを、ある程度コントロール出来ます。 集中と緩和をコントロールできます。ブランディングが出来ます。音により、その空間のアイデンティティーを作れます。音で、パーテイションの様な効果を作れます。

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40年ほど前、日本はストレスフルな環境に悩まされていたため、音環境でリラックスしたストレスフリーな状態を作れないかと試行錯誤していた中で、脳波測定であるとか、音の音像移動による脳波のコントロールなどを実験していました。

Cyber Kun Looking Out To See

発見というほど大袈裟なものではないですが人の耳には聞こえないとされる20kヘルツ以上の高周波のノイズがリラックス効果や集中力を高める力を持っている。 自然の森の中には「20kヘルツ以上の高周波のノイズ」が豊富に含まれた音環境がある。また、それらの自然環境音は1/fゆらぎの特徴を持っている。 立体的な音像移動により「目眩(めまい)」のような「耳まい」と言ったような現象が生まれる。体感重低音と立体的な音像移動の組み合わせでより深い瞑想状態を作り出せる。などの効果を見つけることができました。

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私は長い間サイバーフォニックという立体録音のシステムで、世界各国の自然音を録音してきました。約50ヶ国になります。サイバーフォニックはそのロケーションの音を、上下左右、奥行き感まで含めて記録しますから、その音を再生すると、その時の記憶が、まざまざと甦ります。

Takashi Kokubo Waterfall

あなたは引き続きこの種の研究をし続けているのでしょうか?

今は、音環境、つまり耳に聞こえる情報だけでなく、目に見える環境にも興味があり、聴覚情報と視覚情報、それに体感情報などの組み合わせによる脳の感じ方の効果に関して興味があります。

Are you still making music?

あなたはまだ音楽制作を行っていますでしょうか?

もちろんやっています。コロナ禍の中で、SNSで知り合ったイタリア人トロンボーン奏者Andrea Espertiと作ったアルバムが来年には発売される予定です。映画「Magone」のサウンドトラックも制作しています。

AYANE SHINOのアルバム『Sakura』は、11月26日にMental Groove Recordsからリリースされる。 本作のリリース・パーティが12月4日に東京のギャラリー、Galaxy Gingakeiで開催される。 伝説的な日本のアンビエント・ミュージックの先駆者達、イノヤマランドと小久保隆(両アーティストはLight In The Atticから発表され、米グラミー賞にノミネートされた『環境音楽』に自身の楽曲が収録され、この集大成を通して、世界中にその名を知らしめた)は、Music For Dreamsから発表された日本のチルアウト・コンピレイション『音の和』のスターの一人でもあった有望な新人、Chillaxと共に、このイヴェントのラインアップを共有し、またUnknown Meのメンバーとしても知られている有名なDJ/プロデューサー、YakenoharaもDJとして参加。そして、AYANE SHINOはこのイヴェントのトリを飾る。このイヴェントのGalaxy Gingakeiでの入場は限定50名であり、11月20日(土)からLIVEMINEのサイトにてチケットが先行発売し始め、また同サイトで有料配信も行う予定だ。Lone Starクルーは本イヴェントのDJサポートをする事に光栄に思い、また本イヴェント終了後に原宿のBar Bonoboでアフター・パーティも開催決定だ。

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