カシオCZ-5000のクリエイターとして活躍するSatoshi & Makotoの兄弟。このヴィンテージ・シンセから驚くべきサウンドを引き出しているのです。そのため、彼らの作り出す音楽は、一見すると深みのある複雑なものとなっています。よく聴いてみると、彼らが必ずしも明白ではないものの、幅広い範囲から影響を受けていることがわかる。最近のインタビューでも語っていたが、このことが、自分たちの作品が「アンビエント」とカテゴライズされることを100%喜ばない理由のひとつだという。そこで、Ken Hidakaは2人に好きな曲を5曲ずつ聞いてみた。そのセレクトに驚かされるかもしれません。
曲と文Satoshi&Makoto。Ken Hidakaがクイズに答える双子。
SATOSHI
Speedy J / Symmetry
Warp RecordsのコンピレーションArtificial Intelligence IIに収録されていた一曲。全編CGのPVもあり、自分はLD版を買いました。素晴らしい没入感。
100Hz / Catching Spyders Remix (In This Place)
90年台初頭に流行ったブリープハウスだと思いますが自分の中で古びない一曲。クールさが色褪せない。今でもたまに聞き返します。
Pink Elln & Atom Heart / Electronique Live [Casino, Montreux 07/06/92]
アナログシンセのアルペジエーターとTR-808だけで”連れていってくれる”、20分を超える大作ライブ音源。会場に警察が来て終わるというドキュメント込みで衝撃でした。
This is an epic live recording that exceeds 20 minutes, and really “takes you away” – using only an analogue synth arpeggiator and a TR-808. It also documents a shocking experience, – ending with the arrival of the police at the venue.
星勝 / うる星やつら2 ビューティフルドリーマー メインテーマ・モチーフ(安らぎ)
自分の音楽の原点はたぶんこのサントラです。なぜリマスターされ映画の中で使われた未発表音源含め完全な形でリリースされないのか不思議なほどの大名作アルバムです。
Oneohtrix Point Never / Memory Vague
当時アンビエントの一種と思って聴いていたOPN。2000年台後半はこれと秘密博士の「CMの角度」シリーズをDVDからiPodに移してずっと聴いていました。
MAKOTO
Aphex Twin / Cliffs
リチャード.D.ジェームスの初期傑作のSelected Ambient Works IIから。テクノの自由度の高さに驚嘆し、世界にはすごい人がいるんだなと痛感した作品。
Suzukiski / Build (Extitute Mix)
彼の2ndアルバム「big tomorrow」に収録されている元曲を大胆かつ繊細に全く別の曲の様にリアレンジされていて衝撃的でした。最近、アナログで復刻されました。
João Gilberto / Lígia
実はブラジルの音楽も非常に好きで、ジョピンやジョアンジルベルトのクラシカルなサンバにも影響を受けています。この来日時のステージも見に行くことが出来ました。
Ryuichi Sakamoto / Paradise Lost
坂本教授にはYMO時代からソロに至るまで最も影響を受けたと思います。中でもアルバム「音楽図鑑」に収録されたこの曲には、とても温かみがあり、エレクトリックミュージックの可能性を感じました。
Okihide / Hoo Poe
90年代当時世界中で同時多発的に天才的なテクノアーティストが登場しましたが、個人的に圧倒的な完成度と楽曲センスで世界トップクラス間違いないと思ったのがオキヒデさんです。ソロアルバムの最後を飾るこの曲は儚く淡い夢がいつまでも続いて欲しいと感じる秀逸な作品。
11月5日、Bar Bonoboで開催されるZim Zam Zu!で、 Satoshi & Makotoのあの貴重なライブを見ることができます。レジデントDJのKen HidakaとMax Essaがホスト役を務め、名古屋のYoshimRIOTがゲストセットで登場します。また、Bonoboのギャラリースペースでは、アーティスト、 Yamasaki Mamiが水彩画やアクリル画のエキシビションを開催します。山崎さんはライブペインティングもされると思います。屋上では素敵なDaniがスパイシーな料理を提供する予定です。